ピピパポピのポパピ はてな地方編

イラストを用いて楽しく歴史を紹介するブログです

シンエヴァの次は科学映像館の科学映画を観て人々の高速道路と高層ビルへの期待に思いを馳せよう!

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こんにちは。昨日「シン・エヴァンゲリオン庵野秀明宇部興産と科学文明への熱い思いを詰め込んだ映画だったんだ!」というような感じの記事を投稿したアラスカ4世です。今回は、昭和時代の人々が科学文明に対してどのような思いを抱いていたのかに関する記事を書きました。よろしくお願いします。

 

前回の記事はこちら

昨日は気の迷いでnoteに投稿してしまったものの、やっぱりはてなブログのほうが使いやすいですね。当面の間noteではなくこちらで更新していこうと思います。

 

今回は、「科学映像館」というNPO法人が所蔵している科学映画を紹介していきます。
科学映像館はYoutubeのチャンネル公式サイトを持っているので、所蔵作品はネット上で鑑賞することができます。まずは下の動画を観てください。途中まででもいいので。

日本の合成ゴム

強そうなBGMと共に壮大なコンビナートの様子が映し出され、なぜ合成ゴムが必要なのかやどうやって合成ゴムが作られるのかが紹介されていきます。

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車!車!車! ゴム!ゴム!ゴム!スピードが、ショックが、ゴムを必要とする。 ゴムの轍に乗って若さが走る! 色とりどりのゴムが海に散っている。陸と海を柔らかく隔てるゴム。生活文化の向上とともにゴムの需要はいよいよ増えていく。

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この時代ならではの演出や言い回しがたくさん出てきて面白いし、迫力のあるかっこいい工場が映るし、眺めていて楽しいですね。こうやって四日市に建てられた石油化学コンビナートが大気を汚染させた結果四日市ぜんそくなどの公害問題が発生させるわけですが、それはまた別の話。というわけで科学映画とはこんな感じの映画です。科学映像館はつよい映像の宝庫です。

 

科学映画とは何か?

科学知識の普及のために制作された映画のジャンルで、1950年代から1970年代にかけて多く制作されたようです。さっきの『日本の合成ゴム』のように企業や地方自治体が企画し、映画会社が製作するケースが多いです。
もっと詳しく知りたい人は、科学映像館の公式サイトを見てください。

こうした映画を通じて、企業や自治体は自らのイメージアップを図ったのでしょう。

次は、しばらく前にツイッターでバズっていた作品です。私はこれがきっかけで科学映像館の存在を知りました。

 

スラム

1961年の生のスラムの様子がフィルムに収められています。住人がウンコしてる様子とかも普通に映っていたりする。すごい……

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ストーリーを雑に要約すると、色々な考えを持った住民が行政と話し合った上でスラムを取り壊し、改良住宅と呼ばれる近代的な集合住宅に移り住み、衛生的で近代的な生活を手に入れるわけです。よかったですね。

 

新しい街 コープブロードウェイセンター

近代化の恩恵から取り残されていたスラムとは逆に近代化の最先端を行っていた住居がこのコープブロードウェイセンター-後のオタクとサブカルの聖地中野ブロードウェイ-でした。この映画も『スラム』と同じ英映画社が作っているのでなんとなく似ていますね。
この映画の企画者は東京コープ社長の宮田慶三郎なので、ミもフタもない事を言ってしまえばこの映画は「俺達はこんなにすごい住居をつくったんだぞ!すごいだろ?」というだけの内容なのですが、なぜそのすごい住居が必要なのか説明するために

現在は進歩する科学が未知の世界から次々と生み出してくる全く新しい素材を再構成して日常に取り入れ古い都市生活を大きく転換させる時代を迎えています。次元を開拓しきって伸びる道路。人間の尊さを誇示して並ぶビルの壁。原料革命、技術革新がやがて招来する輝かしい生活の未来像がここに象徴されています。

みたいな話から始まっているのが良いですね。ビルの壁は人間の尊さの象徴だったのか……。あと、文明=高速道路と高層ビルみたいな感覚が宇部に住む特撮オタクの変人だけではなく日本全国である程度共有されていたのも感じられると思います。

 

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結局このコープブロードウェイセンターは宮田慶三郎氏が構想していたような形では集客力を維持できず、シャッター街と化してしまっていたところにまんだらけ等が進出し、現在のオタクとサブカルの聖地が形成されていくのですが、それはまた別の話。ピッカピカだった頃の中野ブロードウェイは見る価値があります。

 

豊かな社会をめざして

筆者のお気に入りです。ものすごく粒度の粗いタイトルですが製鉄所の映画です。いきなり希望にあふれる強い主題歌が流れるところから始まります。1968年当時から人々は素晴らしい21世紀を夢見ていたんですね。

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鉄は、鉄は、鉄は、鉄は……(エコーするナレーション)

何の映画なのかわかりにくいタイトルなども含めて、映画のあらゆる部分に「鉄こそが文明社会の主役なのだ」という強い自負が見て取れます。この時代のシンジくん達は自信に満ち溢れていて羨ましい。マジで羨ましい。

 

まとめ

この時代には科学文明の進歩と豊かな未来を真剣に夢見ていた人々がいたわけなのですが、現代に生きる我々は宇部興産大喜利をすることしかできない。寂しいですね。

それでも、こういう時代があったんだという事が記憶され続けたほうが良いんじゃないかと思い、記事を書きました。

 

これ以外にも良作がたくさんあるはず

というわけで科学映像館のおすすめの科学映画を紹介してきましたが、他の所蔵作品が面白くないと言いたいわけではないです。
2000年代に入ってから制作されたものもあるし、戦前や戦中の作品もあります。公害や自然環境、医学、伝統文化などを題材にした映画や観光協会が企画した映画など、今まで紹介した映画とは大きく傾向の違う映画もあります。
その中で筆者はまだごく一部の映画しか見ていないし、この記事では見た映画の中で先日の記事と関係が深そうなものを恣意的にチョイスして紹介ています。
なので他にも面白い科学映画や科学映画の見方は色々あるはずですが、それは読者の皆さんが見つけてください。

というわけで、どうもありがとうございました。